熊本大学工業会・平成20年〜29年度の各講演の要旨 | ||
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桂先生の講演要旨(H29) | 國武先生の講演要旨(H29) | 渡辺様の講演要旨(H29) |
宇佐川工学部長の講演要旨(H28) | 豊島様の講演要旨(H27) | 江端先生の講演要旨(H26) /金原様の講演要旨(H26) |
阿比留様の講演要旨(H25) | 山尾教授の講演要旨(H24)/ 増田様の講演要旨(H24) | 栗原教授の講演要旨(H23)/ 古寺様の講演要旨(H23) |
松島教授の講演要旨(H22)/ 中西教授の講演要旨(H22) / 浦川様の講演要旨(H22) | 岡村会長の講演要旨(H21) 曽我様の講演要旨(H21) | 岡部先生の講演要旨(H20) 宇対瀬様の講演要旨(H20) |
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熊本大学工業会・平成20年〜28年度の各講演の要旨 | ||
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宇佐川工学部長の講演要旨(H28) | 豊島様の講演要旨(H27) | 江端先生の講演要旨(H26) /金原様の講演要旨(H26) |
阿比留様の講演要旨(H25) | 山尾教授の講演要旨(H24)/ 増田様の講演要旨(H24) | 栗原教授の講演要旨(H23)/ 古寺様の講演要旨(H23) |
松島教授の講演要旨(H22)/ 中西教授の講演要旨(H22) / 浦川様の講演要旨(H22) | 岡村会長の講演要旨(H21) 曽我様の講演要旨(H21) | 岡部先生の講演要旨(H20) 宇対瀬様の講演要旨(H20) |
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熊本大学工業会・平成20年〜27年度の各講演の要旨 | ||
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豊島様の講演要旨(H27) | 江端先生の講演要旨(H26) /金原様の講演要旨(H26) |
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阿比留様の講演要旨(H25) | 山尾教授の講演要旨(H24)/ 増田様の講演要旨(H24) | 栗原教授の講演要旨(H23)/ 古寺様の講演要旨(H23) |
松島教授の講演要旨(H22)/ 中西教授の講演要旨(H22) / 浦川様の講演要旨(H22) | 岡村会長の講演要旨(H21) 曽我様の講演要旨(H21) | 岡部先生の講演要旨(H20) 宇対瀬様の講演要旨(H20) |
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熊本大学工業会・平成20年〜26年度の各講演の要旨 | ||
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江端先生の講演要旨(H26) /金原様の講演要旨(H26) |
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阿比留様の講演要旨(H25) | 山尾教授の講演要旨(H24)/ 増田様の講演要旨(H24) | 栗原教授の講演要旨(H23)/ 古寺様の講演要旨(H23) |
松島教授の講演要旨(H22)/ 中西教授の講演要旨(H22) / 浦川様の講演要旨(H22) | 岡村会長の講演要旨(H21) 曽我様の講演要旨(H21) | 岡部先生の講演要旨(H20) 宇対瀬様の講演要旨(H20) |
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熊本大学工業会・平成20年〜25年度の各講演の要旨 | ||
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阿比留様の講演要旨(H25) | 山尾教授の講演要旨(H24)/ 増田様の講演要旨(H24) | 栗原教授の講演要旨(H23)/ 古寺様の講演要旨(H23) |
松島教授の講演要旨(H22)/ 中西教授の講演要旨(H22) / 浦川様の講演要旨(H22) | 岡村会長の講演要旨(H21) 曽我様の講演要旨(H21) | 岡部先生の講演要旨(H20) 宇対瀬様の講演要旨(H20) |
【平成25年度】阿比留様の講演『題目:会社紹介』の要旨 昭和51年、機械工学科卒業の阿比留と申します。 本日は講演と言う事で、ご指名いただきましたが、さて、何をやろうか…人様の前で話せるような信念も、又、特別な技術ももっておりません。それで、題目にあるように「会社紹介」と言う形態で、やらせて頂きます。 ここでお集まりの会員各位それぞれの会社、特に私どものようにあまり知名度のない会社が「どういう会社なんだ」と言う事を紹介していくことが、一つの絆となり、更に、うまくいけば仕事へつながるキッカケとなれば最高であると思います。 そのような訳で、今回、会社紹介やらせて頂きます。 まず、プロローグとしまして、私どもの会社の前身は「旭兵器製造株式会社」と言う社名で、昭和17年に、オークマ(旧、大隈鉄工所)の子会社として設立されました。 昭和17年はちょうど戦争の真っ最中で、当社では銃弾を作っていました。 所在地ですが、その当時は、愛知県東春日井郡旭村ですので、その旭を採って、旭兵器製造株式会社となった訳です。 現在は尾張旭市となりまして、この会場(ルブラ王山)から北東方向約10qほどに位置し、栄から瀬戸市に向かう名鉄瀬戸線の途中にあります。 銃弾に関しましては、皆様がほしいと言われてもお売りするわけにはいきませんが、この部分はわが社を知って頂くためのPRとして、紹介させて頂きます。 初和20年、終戦となりまして、占領軍指令により銃弾製造設備関係は全て破壊・廃棄せよと言う事になりました。 従いまして、この時点で旭兵器製造株式会社は閉鎖と言う事になります。 昭和25年、朝鮮動乱が勃発します。 米軍から日本国内での銃弾調達の要求が出され、昭和26年には、日米安保条約も結ばれました。 ここで、日本国内における銃弾製造を目的として、昭和28年に大隈鉄工所(機械設備)を中心に、古河電工様が材料(薬きょう、銃弾用)、旭化成様が火薬、東海銀行様が資金面をそれぞれ担当する発起人となり、旭大隈工業株式会社と言う名称で設立されました。戦後もう一度銃弾を作り始めたわけです。 昭和36年に社名が現在の旭精機工業株式会社に改称されました。 その理由の一つは、旭大隈工業株式会社の隣に旭大隈産業株式会社と言う会社が有りまして、「紛らわしい」と言う地元の人からの声なども考慮してのことと聞き及んでいます。 発足当時の、社内銃弾の発射試験場の様子です。 銃弾を製造した場合、必ずロットごとに発射試験をしまして、品質を確認し試験結果を付けて弾が納入されます。 銃弾発射で近隣にご迷惑をお掛けしないように、現在は縦方向約200mのトンネル型ドームの中で、相変わらず弾の発射試験を行っております。 従って、日本で一番弾を撃つのはわが社の品管の人間だろうと思います。(笑) 発足当時に作っていた銃弾の種類です。 ここに載っていないもので、戦時中にはゼロ戦で使われた13mm機関砲用銃弾なども作っていました。 話しがもとに戻りますが、旭大隈工業と言う名称のもと昭和28年から銃弾製造を開始したわけですが、最初の2回の発注元はいずれも米軍でした。 日米安保条約の下で、日本の軍備力を高めようと言う方針も有り、米軍からの銃弾発注だった訳ですが、3回目以降は防衛庁(現、防衛省)からの発注となりました。 それと同時に、銃弾の発注数が激減いたしました。 従って、会社としても、それだけではやっていけなくなりました。 それで、民需を開拓できないかと言う事で、元々、大隈鉄工の機械製作に関するDNAを受け継いでいますから、民需に活路を求めたわけです。 ところが、民需と言いましても、そう簡単に右から左とばかりに製品開発ができるわけではありません。 そこで、我社がまず最初に行ったのが、海外との技術提携でした。 昭和30年代後半からの話でしたが、海外との技術提携は当時は「おいしい話」が多々ありました。 今でこそ、グローバル化がすすんでいますので何か新しい製品を思いついたと思っても、インターネットで調べれば、その分野には数えきれないくらいの企業が進出していることが良くあります。当時は海外製品を国内市場にいち早く導入するだけで、為替の関係や技術の関係で商売として直ぐに成り立つ、あまりハズレないと言う時代でした。 この様に、海外との技術提携で商品を増やすと言うのは、結構、効果的な手段でした。 ただそれでも、多くの失敗とわずかな成功で地道な努力を積み重ねてきた結果で、どうにか産業機械という事業分野、それは今、私が担当している部門ですが、が成り立ってきた次第です。 僅かな成功例は、後で紹介しますが、まず失敗…とまでは言いませんが、消え去りし製品の数々について紹介します。 昭和40年代の初めごろですが、爆発成形技術です。当社は銃弾の関係で火薬の扱いに関するノウハウは有しておりましたので、この研究をやっておりました。 水中で火薬を爆発させて板金を成型する技術の研究開発です。 また、義足の開発研究などを含めて、社内だけでなく産学共同研究と言う形で行っておりまして、この「産学」の「学」が熊大だったようです。 この2つは、基礎研究の面が強くて、特に爆発成形は隣近所に迷惑もかかりますので、結局、商売にはなりませんでした。 ただ、私は昭和51年に卒業したのですが、当時は不況の真っ只中でして、学部卒業生の約半数が大学の研究生として残ると言う状況でした。 幸いにも私は、私が義足の研究をされていた先生の下についたおかげで、「名古屋に面白い会社が有る」と紹介して頂きました。 この様なつながりで私は、今の会社に来たようなものですので、二つの研究は失敗しましたが、熊大が私と会社を結び付けてくれたと言う事、それが最大の成功ではないかと思っています。(笑) 次に、卵の洗浄器ですが、これは技術提携の例です。 イギリスの会社と技術提携でやりました。しかし、見事に失敗しました。 卵と言うのは、表面がツルツルだとよくないですね。 少し凸凹(ザラザラ)の所に新鮮さが有るのであって、「磨きゃいいと言うもんじゃない」と言う事で(笑)…、これは失敗でした。 次も技術提携の例ですが、インパクトハンマー、無反動ハンマーについてです。 ハンマーの後部に空間を設けて、そこに砂が詰まっています。 普通のハンマーは固い物をポンとたたくと、反動でカンと跳ね返ります。 無反動ハンマーでは、ポンとたたいた瞬間、内部の砂の効果で、反動を抑制すると言う仕組みですが…・売れるわけないですよね…。 私の入社当時、工場と言う工場、そこいら辺にたくさんのハンマーが転がっていまして、ハンマーは使い放題と言う感じでした。 8o映写機は、OEM受注製品でした。従いまして、製造・組立だけで販売はありませんでした。 しかしながら、OA機器を含むこれらの製品は、短期間で直ぐ、次のタイプに代わってしまいます。この8o映写機もその例にもれませんでした。 一応、製品化はできましたが、継続できる製品ではありませんでした。 いよいよ、成功した例です。 現在はもう、古いタイプとなっていますが、スイスのコップ氏と技術提携して製品化した、コップ無段変速機を製造・販売した話です。 これは、昭和34年のことです。 このコップ無段変速機と言うのは、すでに世界各国(9か国)で技術提携がされていました。 従って、日本の我社との技術提携は10か国目と言う事になります。 本社のロビーには、世の中に出て、ぐるりと一巡して我が社に戻ってきた1号機が展示してあります。 工学部卒の皆様の前での講演ですので、少しはアカデミックな話も必要だろうと思いまして、コップ無段変速機の原理を簡単に説明します。 こちらからモータの入力回転が入ってきます。 入力の回転運動はドライブボールと言う部分を介しまして、出力軸に伝えられます。 このドライブボールは軸に対して傾斜できるようになっています。 傾斜角度はハンドルを回して与えられるメカ的な構造になっています。 入力軸で入ってきた回転はドライブボールの大きい直径で回って、出力するときは、小さい方の直径で出力軸を回すことになります。 つまり、入力回転に対して出力側は減速された速度で最終的な軸の回転として出てゆくことになります。 一方、増速側の場合は、ドライブボールの傾斜が逆になりまして、入力軸の回転に対して出力軸が増速されます。 これらの特徴は、無段階変速が簡単に得られることと、減速側にすれば、同じ2kwのモータであっても出力トルクは1.5倍とか1.6倍になると言う事です。 増速側にすれば、トルクは落ちますが高速回転を得ることができると言う事です。 30年以上にわたって稼がせてもらいましたが、現在は、インバーターモータやサーボモータが安価に登場しまして、本製品は製造を中止しました。 次は、米国のコロンビア社との技術提携製品でコイニングプレスです。 旧大蔵省の造幣局に収めました。 1円から500円玉までのコイニング(刻印)をするための機械です。 おかげさまで、128台の受注を造幣局から頂きまして、今でも十数台が活躍しています。 記念硬貨や記念メダル関係にはこの機械が現役として使われています。 残念ながら、現在の量産用としては、ドイツのメーカーの機械が採用されています。 これからが、現在の私たちの会社の紹介になります。 米国のUSベアード社との技術提携によって、始めたトランスファープレスと言う機械です。 ここにサンプル(パソコンなどで使用される携帯電話用のリチウムバッテリー用のケース)を持ってきましたが、一枚のフラットの薄板(帯材)が、本機械の中を流れて、最終製品に仕上がってゆくものです。 薄板の絞り加工分野を得意としています。 代表的な製品が、単一〜単三用乾電池ケース、携帯電話用の角ケースなどです。 それ以外に、パイプ形状の製品のコストダウン対応として、フラット板をこのプレス機械で絞ってシリンダー化する等の加工ができます。 特に電池用ケースの分野では、使い捨て用の一次電池、充電用の二次電池など、世界シェアの約50%が当社のプレス機械で生産された物です。 現在、バッテリーの需要の拡大ブームは当社にとってありがたい追い風と言えます。 生産現場の動画をお見せします。 材料ブランキング工程から次々に隣の工程に移って行き段々細長いシリンダー形状になって行きます。 電池缶などの安い物は、150個/分以上の生産スピードでなければ、コスト的に合いません。 二つ目の製品、これも技術提携で始めたものですが、CNCのスプリングフォーマと言います。 バネを作る機械です。 現在、バネ製造は全てCNCサーボ制御方式になりまして、どのような形状のバネを作るかは、エクセル形式のパソコン画面で、顧客のオペレータが自由にプログラムしながら、同時に製品を仕上げていくと言うやり方になっています。 バネ以外の電気的なコイルやフォーミング物等も当社の得意分野です。 バネ成形機の様子を動画をご覧ください。 加工ツールがロボットアームのようなイメージで機械後方から送られてくる材料を成形していきます。 展示会のデモンストレーション用に「トーン記号」の形のアクセサリーを作っている様子です。 一筆書きできる形状のものなら何でもできます。 儲けそうな事には何でも興味があります。 機械加工技術そのものも商売にしようと、航空機の部品加工の分野に35年前に参入しました。 ジュラルミンを無人で切削加工する動画です。加工している物は、ボーイング787の主翼部分です。 この世界も加工賃はどんどん安くなっています。 そこで、他社との差別化を図り、如何に高速加工できるかが重要なポイントになります。 以上、会社の概要を説明させていただきました。 当社を直接見たいと言う方、私にご連絡いただければ工場案内なり何なりをお引き受けします。 但し、銃弾は見れません(笑)。 セキュリティが非常に厳しいので、社員の中でも特別許可された関係者しか、工場内には入れません。 見学は民需製品関係に限らせて頂きます。 講演は以上で終わりです。 以下、ゴルフ部会部長としてご報告いたします。 お約束通り、昨年平成24年10月21日に支部ゴルフクラブのゴルフコンペを開催しました。 その節には、田淵さまにお骨折りいただき有難うございました。 おかげさまで、2組8名の参加が有りました。 スコアに関しましては宇対瀬さんだけがずば抜けていました。 1強、後の7人は・・・・・・、1強7弱と言う結果でした。 この様に、ほのぼのとやっておりますので、「一寸、やってもいいかな」と思う方の参加を是非お願いします。 どうも、ご清聴ありがとうございました(拍手)。 to Page Top |
熊本大学工業会・平成20年〜24年度の各講演の要旨 | ||
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山尾教授の講演要旨(H24)/ 増田様の講演要旨(H24) | 栗原教授の講演要旨(H23)/ 古寺様の講演要旨(H23) | |
松島教授の講演要旨(H22)/ 中西教授の講演要旨(H22) / 浦川様の講演要旨(H22) | 岡村会長の講演要旨(H21) 曽我様の講演要旨(H21) | 岡部先生の講演要旨(H20) 宇対瀬様の講演要旨(H20) |
当日の山尾教授のスピーチはこちらの資料(当日のパワーポイント資料をpdf化しました)に基づいて行われました。併せてご覧ください。 「最近のキャンパスT(4Mb)」 「最近のキャンパスU(4Mb)」 皆様こんにちは。ただ今ご紹介に預かりました、大学院の自然科学研究科所属で、社会環境工学科の山尾でございます。本日は中部支部総会にお招きいただきまして誠にありがとうございます。 私の今回の講演のキーワードは「工友寮」ということですが、工友寮には大学4年間の在学中に住んでおりました。現在、大学におりますので工友寮の整備にも関わってきました。工友寮コーナーが整備されて、工学部の旧機械工場・赤レンガの2階に設けられています。その内容もお話の最後の方で少し紹介させて頂きます。 詳しい話は、昨年黒木さんを始め、諸先輩からも紹介されているようです。 今日、名古屋に来まして、先ほど前田先生にも久しぶりにお会いしました。前田先生には私も大学生時代にかなりご迷惑をおかけしました。また、大学卒業後、教員になり、教養部の授業で、前田先生から直接教わったことが「ハンコの押し方」でした。ハンコの写りが少しでも具合が悪いと「なっとらん。それは印ではない」と、厳しく指導されました。そのことはずーと頭に残っていますが、未だに理想通りにハンコ押しができていませんね・・・。 それでは、大学の状況につきましてお話し致します。今、大学は非常に厳しい状況あります。どうして厳しいのかということ是非理解していただければと思います。 ◎大学方針 熊大工学部は里中工学部長のもとに頑張っていますが、大学を取り巻く環境につきましては、本年(2012年)6月4日にすでに発表されました通り、次のような問題点が指摘されています。 (1)今の大学生は勉強しない (2)特に、グローバル化の観点から、外国語については社会で通用する能力が身についていない。 このような背景から、工学部長の以下の3つの方針のもとで、工学部でも「国際人で有れ」というモットーのもとに人材育成に努力しております。今後は「グローバルに活躍できる人材の育成」がキーワードになるものと思います。 (1)人間である事 (2)プロフェッショナルである事 (3)そして国際人である事 ◎大学を取り巻く環境 パワーポイント資料(以下PPT資料と言う)にありますように、大学を取り巻く環境としましては「競争と評価の時代」の中にあるといえます。一方で、「理科離れ」や「ゆとり教育」等ともいわれておりますが、今後、工学部への入学希望者がますます少なくなるのではないかと懸念されています。優秀な学生を如何に確保するかが今後の大きな課題です。他方で、日本産業の未来動向に関しましては、むしろ皆様の方がお詳しいと思いますが、円高やグローバル化・産業構造の空洞化等、様々な問題点が出てきております。産業界からは、大学に元気な卒業生を求める声が高まっています。大学としても、その狭間にありかつ真剣な自己変革を求められており、まさに正念場に立たされているといえます。もっと人材育成に大きな力を注ぐべきではないかと思います。 さて、私自身は今年(2012年)の4月から、教養教育の改革、具体的には大学教育機能開発総合研究センター(以前の教養部の機能の一翼を担うセンター)のカリキュラム開発や組織改革等にも関わっております。その結果を来年度の教養教育の内容に反映すべく見直しを進めているところです。その意味からも、教育・研究の両面から社会貢献をする必要があると思っています。今後は、「教育の質の確保とグローバル化」、「学生の元気は大学の活動力の鏡像」、或いは「研究活動の活性化は大学の命綱」と言う3大原則でやらなければならないという共通認識が必要であり、関係者全員の間にも徐々にこの認識が浸透しつつあるものと考えます。 ◎第2期中期目標・中期計画 熊本大学も研究拠点大学を目指して国際化の推進を行っています。第二期中期計画における工学部の目標としまして、グローバル化時代をリードする技術者、研究者の育成を目指して「グローバル人材育成事業」に申請しています。今のままでは社会の期待に十分応えきれなくなるとの認識のもと、具体的にはTOEICで600〜700点程度の理系英語の能力を習得した学生を送り出そうと考えています。 ◎学部学生数 PPT資料に示すように、年々、女子の学生数や留学生の数も増えてきております。 ◎工学系の建物 帰熊の節にはぜひ大学のキャンパスを訪れてみてください。昔のイメージは一新されたものと思われます。13階建の機械システム工学系は昔の中央館であり、建築学・社会環境工学系の建物も耐震補強されました。道路を挟みまして黒髪北キャンパスには教養、法学・文学系、教育学系の建物が有ります。 ◎キャンパスの充実した施設 キャンパスの施設等を紹介します。全講義室にAV機器、空調設備を完備することが求められています。無線LAN接続はキャンパス内のどこでも可能です。学生支援室では昼休みや放課後、院生が中心になって後輩たちをサポートするシステムもあります。FORICO(生協食堂・売店)もPPT資料に示すように新しくなりました。 ◎国際基準を満たす教育プログラム 個性化(特徴ある教育)に関しましては、理数学生応援プログラム、通称、「理数大好き入試」がスタートしています。教育の国際化としましては、秋入学が新聞紙上をにぎわしていますが、一気にその方向にいくわけではありません。熊大としましては、編入学生を今年、中国から2名受け入れます。今後も継続する予定ですが、その場合は、英語による教育も必要になるかと思われます。JABEE(日本技術者機構)の認定として、今年、機械系及び社会環境系等が、更新審査の受審年になっております。化学系はISO14001の分野別到達目標設定にしたがったシステム運用を展開中です。 ◎ものづくり教育 これも、工学部の特徴的な試みの一つでございます。革新ものづくり教育センターを作って、学内、企業、地域、或いは国際的な連携を取りながら「ものづくりのできる学生を育てる」ことが大きな目玉です。 ◎日韓合同デザインキャンプ 2011年8月に熊大と韓国・東亜大学で協力してデザインコンテストを開催しました。学生たちが夏休みに約3週間、コミュニケーション手段は英語によって、チーム単位でコンテストに参加しました。 ◎理数学生応援プロジェクトの目標 理数分野における理論と応用に強い、国際的人材の育成を目指す取り組みです。「高・大・大学院連携型理数学生ステップ・アップ・プログラム」とよぶ特別コースです。各学科、若干名の学生を推薦入試で選抜しております。又、大学入学後でも本コースに転入可能なシステムも取り入れています。新入学生が減少する社会的背景の中にあって、チャレンジ精神が旺盛で理数系に強く、観察力・理論的思考力に卓越した学生を如何に発掘するか苦心しています。 ◎工学部の主な取り組み 研究の主な取り組みは次の通りです: (1)太陽電池・自然エネルギ寄付講座の継続 (2)自然科学研究科研究センターの改組 (3)G-COE(パルスパワー)、地域結集型研究開発(KUMADAI/マグネシウム合金)。 KUMADAI/マグネシウム合金に関しましては、本日皆様に配布いたしました「かけはし」に記事が掲載されています。河村先生が中心となった先進マグネシウム国際研究センターが昨年設立されました。 運営の主な取り組みですが (1)教員組織のポイント制導入…ポイント制による教員採用システムです。 (2)バファリングによる女性教員の採用…女性教員を必ず1名は採用するようにということで、各学科とも要請に沿って増やしています。 ◎掲載論文数・被引用数でのランキング 2009年の朝日新聞の記事によりますと、熊本大学の位置づけはこのように(PPT資料)なっております。 ◎研究センター・拠点形成研究 大学における研究センター等の階層構造はこのように(PPT資料)なっておりますが、国際卓越研究センター等が現在形作られております。大学院或いは工学部も、現在、改組に向けて動き始めております。来年、再来年位には具体化する予定です。 ◎主な研究グループ 衝撃バイオエレクトロニクス研究所や先進マグネシウム国際研究センター等を中心に研究が行われています。基礎的研究センター群等の研究コアを増やしながら、大きなセンターに育てていこうという構想です。 ◎世界とのコミュニケーション 英語教育は必然的にやらなければならないものと認識しています。外部試験のTOEFLの導入等もしておりますが、能力的にはまだまだ不足しています。海外大学との大学及び学部間交流協定に従いまして、研究のみならず学生も留学ができるようなシステムを持っております。総数27か国、130校との交流が進んでおり、留学生は総数430名、内自然系が180名ですが、この辺りも今後増やすべきであろうと思われます。 ICAST(アイキャスト:International Student Conference on Advanced Science and Technology)は科学・技術分野におけるは大学院生を中心に国際的な交流の促進を目指すものです。パートナー大学間の積極的な連携とネットワークの拡充を目指しています。現在までに6回の会議を開催しています。第1回目の熊本から北京、ソウル、イズミール(トルコ)、インドネシア等での実績が有ります。 熊本大学フォーラムに関しましては、2003年の東京フォーラムを皮切りに、2004年の関西フォーラムから最近では2010年にハノイで開催しています。このように、東アジアを中心に国際連携を深めています。 学生の自主的な取り組みもいくつかあります。分野や学年を超えて開催される各種コンテストにおいてアイデアを競い合っています。ものづくりから出発して、ETロボコンや種子島ロケットコンテストなどにも参加しています。 ◎運動会 運動会を復活させました。昔と違って団旗は7種類になっています。平成20年が復活第1回です。以降、21年、22年とこのような(PPT資料)状況になっています。平成23年には社会環境工学科に女子学生の応援団も登場し、まさに時代の流れという感じです。昔の運動会を知る方々は「こんなもんではない」と思われるかもしれませんが、これも時代の流れでしょう。また、帰熊の機会が有りましたら、毎年10月10日前後の日曜日に開催しておりますので、スケジュールを併せて頂ければ幸いです。 最後になりましたが、工友寮に関する写真だけ一寸紹介させて頂きます。旧機械工場の2階の工友寮展示コーナーにはパネルが置かれており、工友寮旗、略年表、OB会の記念写真等が展示されています。旧制の第五高等学校に関する資料も含めて残されておりますので、動態保存(機械遺産)の機械工場と共にこのコーナーにも是非、足をお運びください。以上で簡単ですがご紹介を終わります。 今日はどうも有難うございました。(拍手) 以上 to Page Top -------------------------------------------------------------- 【平成24年度】増田様の講演要旨 当日の増田様のスピーチはこちらのpdf資料「橋」に基づいて行われましたので、併せてご覧ください。 昭和44年金属を卒業しました増田と言います。 私は、今、茨城県に住んでいます。20年ほど前まで名古屋に住んでいて、中部支部にも顔を出しておりましたので、今は中部支部に資格はありませんが、厚かましくも総会、懇親会等に出席させて頂いております。 そのお礼の意味で、何かお返しを、と言う事で、今日のこの話をすることにしました。 但し、口下手ですし、何をしゃべるかの持ち合わせもありませんが、大学卒業以来、定年になるまで橋造りをしておりましたので、「それでは、橋の話をしようか」と思いました。 橋造りと申しましても、本日ご出席の皆様の名簿を見ますと、「橋と言うのは、渡ればいいんだ」と思われる方が殆どではないでしょうか。従って、本日はできるだけ専門用語は使わないようにしたいと思っています。 ただ、土木の方も見えますし、建築の方もそうかもしれませんが、特に今日は山尾先生がお見えですので「あの野郎、嘘言ってやがるな・・・・」と言うところもあるかもしれませんが(笑)、橋を渡る方々のために喋るつもりですので、その点宜しくお願い致します。 では、始めます。 |