- 石飛先生の講演要旨
おはようございます。機械科の石飛です。本日はお招きいただきまして有難うございます。
私は、大学の現状などにつきましてスライドを使って説明したいと思います。
まず初めに、現在の熊本大学工学部を取り巻く環境を説明しますと、ご存知の通り平成16年に国立大学は法人化されました。その時から、第1期の中期目標(期間5年)を設定し、平成21年度までの目標達成に向けて挑戦中です。来年(平成20年)には組織評価を受ける予定です。これからは、大学経営のあり方も競争と評価の時代に入り、様変わりすることになります。社会的に認められ、求められる価値のある大学へと脱皮しなければなりません。また、日本社会は少子高齢化が進行し、就学年齢層の若者達の絶対数が減少する中で子供たちの理科離れ、工学離れへの不安・懸念も問題化しています。わが工学部もこの様な傾向に対する有効な対策を講じる必要があります。そのために、大学教育の見直しが必要であると思われます。
ここで、熊大工学部の歴史を振り返ってみると、今年は大学(の前身:5高工学部)創立110年目にあたります。その後昭和40年に修士課程の設置が実現しました。また、昭和61〜63年の間、博士課程が設置されています。平成18年度には全教員が自然科学研究科に所属する大学院重点化と一元化の改組を行いました。又、平成21年(2009年)には、新制大学として発足以来60周年目の節目を迎えます。
当面、工学部としては次の段階の「組織評価」や「認証評価」等への準備・対応が求められることになります。この様な評価結果によって、それ以降の、工学部に対する教育・研究費の国の予算配分額への影響も考えられます。
今後、工学部が目指す方向をお話しますと次のようになります。
- 国際標準の教育提供プログラムに対するJABEE認証の更新
JABEEによる認証は化学系を除く、全学科で取得済みです。化学系はISO14001の認証を取得しています。これによって「熊本大学工学部は国際標準の大学教教育を提供している」ということを、客観的な証拠によって証明することができます。平成21年にこれらの2回目の審査が行われます。
- 実験と、ものづくりを通じた実践的な教育の実施
現在、工学部では「ものづくり創造融合工学教育事業」の一環として、「ものクリ工房」や「まちなか工房」等の施設をキャンパス内外に用意して、知的ものづくりを実践する場を整備・提供しています。まちなか工房は熊本市・上通り にあり、一般市民へのPR窓口となっています。
- その他の取り組み
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工学部では現在SSH(スーパー・サイエンス・ハイスクール)プログラムに取組んでいます。熊本市内の高等学校の理科教育プログラムに対する指導・支援を行っています。
また、東南アジアからの留学生の短期受入教育にも力を注いでいます。
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工学部は産業界や海外組織等、外部への積極的な情報発信も行っています。
平成15年秋に東京フォーラムを、また平成16年5月には関西フォーラムを開催しました。平成17年10月には上海フォーラムを実施、続いて平成18年9月に韓国フォーラムを熊本大学が主催し、工学部がこれを支援しました。
また本年2月には熊本県との共済で上海熊本フェアを実施し、県は熊本の特産品展示を行いました。
工学部は「オンリーワンの研究」を育てることを目指しています。例えば「マグネシューム合金材料技術」等がその一例です。
また、工学部の旧機械実験工場と工作機械群が日本機械学会により「機械遺産」に認定される予定です。
熊本大学工学部は卒業生の皆様が、工学部が良かったと「誇れる大学・誇れる工学部」であって欲しいと思っています。誇れる工学部に更に磨きをかけて,社会から「すごい、すばらしい」とお褒めをいただき、憧れられる工学部にしようではありませんか。卒業生の皆様のこれまでの工学部に対する多大な貢献に対して感謝すると同時に、引き続きご支援賜りますようお願いします。
来る11月3日を大学祭開催に合わせて”Home Coming Day”にしませんか。母校に立ち寄り、コメントなり近況報告等をお聞かせください。
- 頓田先生の講演要旨
大学を取り巻く最近の環境変化の速度が激しすぎて、卒業生の皆さんは追いついていけないのではないでしょうか。これまでに石飛先生がお話された事柄で何か分からない点、疑問の点はありませんか。ご質問があれば、後でも結構ですから遠慮なく聞いてください。
取り立てて質問もないようですので、私が準備したテーマに沿ってお話を進めたいと思います。
改めまして、本日はこの様な盛大な会合にお招きしていただき大変有難うございました。
今年2月の幹事会への出席に続き、今回が私にとって2度目の出席となるわけですが、私は来年3月をもって大学を退職いたします。このような私の事情を察した、中部支部の幹事の皆様がもう一度私と卒業生を引き合わせるためこの様な機会を用意していただいたものと思い、心から感謝いたしております。
さて本日は、私が持参しましたカラー刷り資料「採鉱冶金学科創立100周年記念行事開催報告」の中から、興味を持った2〜3のテーマについて掻い摘んでお話します。
まず、採鉱冶金学科が熊本大学(の前身である熊本高等工業学校)に設立された経緯について考えて見ますと、我が採鉱冶金学科が創設された1906年(明治39年)の前年(1905年5月26日)に日露戦争の日本海海戦において日本海軍がロシア帝国のバルチック艦隊を撃破しました。しかし、ここで注目したいのは「当時の日本には未だ自力で軍艦を建造する技術力が無かった」ということです。その時活躍した戦艦・三笠は英国製でした。
富国強兵を目指していた当時の明治政府は、これを契機として熊本高等工業学校に採鉱冶金学科を明治39に年設立し、官営八幡製鉄所や筑豊の石炭産業を学術的に支えるための九州の教育拠点としました。因みに九州(帝国)大学に採鉱学科・冶金学科が設立されのは1911年(明治44年)のことでした。熊本大学の採鉱冶金学科は明治19年(1886年)に創設された東京大学の採鉱冶金学科に次ぐ、全国で2番目に古い歴史を持つ学科なのです。
但し、戦争中の昭和19年4月に熊本高等工業学校は熊本工業専門学校へと校名を改称しました。それと同時に採鉱学科、冶金学科も採鉱科、冶金科にそれぞれ改称されました。他の学科、例えば機械工学科も同様に機械科と改められました。つまり”学”の字が 学科名から削除されてしまったのです。これは当時の政府が悪化する戦況の局面打開に躍起となり、学問等どうでも良い二の次の問題とみなしていたためなのでしょう。まったくひどい話です。この様な歴史から学ぶべき大切なことは、よき政府を作り、上手に支えて行くのは他ならない我々国民であると言うことです。
他にも色々とお話したい事もございますが、長くなってもいけませんので、この辺で私の話を終わらせていただきます。
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- 【テーマ:水商売】篠原 修一様の講演要旨
皆様今日は。昭和48年卒業の篠原 修一です。勿論、昭和44年の入学です(笑)。学科は、今は名称が変わりましたが、合成化学です。すでに故人となられた本里教授の研究室で高分子合成について勉強しました。
先程、新支部長からもご案内がありましたとおり、この講演は今回初の試みとしておこなわれるものです。先回の幹事会で「次回の中部支部総会では、何か今までと違ったことをやらないか」と言う話から、決まったことなのです。そのような時、真っ先に手を挙げるのが私の悪い癖です。 私は大学時代から勉強はあまり好きではありませんでした。会社に入社してからも、2年目には営業部門配属となりました。今ここにご出席の多くの皆様は、恐らく会社内の物造り部門で仕事をしておられることでしょう。私の場合、幸か不幸か営業の仕事をやってきたことが、今回の講演で話をしようと考えた理由なのです。
私がこの中部支部総会に顔を出すことになった、そもそものキッカケは「自社の製品を皆様に売りたい」と言うことでした(笑)。今日の私の講演のテーマは「水商売」と言う表記になっていますが、これは決して私が錦三【注:名古屋市中区錦三丁目付近、名古屋市内の中心的繁華街】で働いているという意味ではございません。
この「水」とは、大方の皆様の職場であろう工場から排出される「排水」と言うことです。皆様ご存知の通り、今は川に排水を放流するにも、大気中に様々なガスを放散する場合にも、それぞれ環境関連の法令・規制要求事項を満たす必要があります。私の会社(富士化水工業株式会社)は工場排水に関わる水処理関係の仕事をやっております。
時間的にも人の話を聞くよりは、食事をしたい頃になってきましたので手短に話しを済ませたいと思います。今しばらくご辛抱ください。
皆様のお手元に資料を配布しておりますが、結論を先に申し上げますと、環境問題でお困りの方、或いはそのような部門で現在仕事をしておられる方、是非、私ども富士化水工業竃シ古屋支店までお電話(052-501-1130)ください。直ちに飛んでまいります。
実の所、この中部支部の会合に出席してきたおかげで、すでに契約が成立し私どもの装置をお買い上げいただいたお客様もございます。1件目が中部鋼鈑蒲l、そして2件目が知多鋼業蒲lです。偶然にも前支部長と新支部長の関連する会社です(笑)。2件目は先月、検収を上げていただきました。前支部長と新支部長に認めていただいたということは、私どもの製品の品質の確かさを何より如実に証明しています。
我社の詳細については、お手元の資料をご確認ください。但し、この資料は当社のホームページをプリントアウトしたものです。是非、ご下命のほどを宜しくお願いいたします。
時間が迫ってきました、非常に険悪な雰囲気になってきたようですのでこの辺で失礼させていただきます。有難うございました。
- 【テーマ:我らズボラ人間が長生きするために】新井 孝一様の講演要旨
皆様今日は。更に険悪な所に出てきたようですが(笑)、私の話が終わらないと乾杯が始められないことになっていますので(笑)、今しばらくの間ご辛抱願います。
これからの私の話には特に資料はありませんので、とりあえずはリラックスしていただきまして、耳だけを傾けていただければ幸いです。演題はそこに書いて御座いますとおり「我らズボラ人間が長生きするために」と言うことです。ここに書いてあります「ズボラ人間」とはどういう人間かと申しますと、例えば「長生きは特にしたくないけど、寝たきりもいやだね」とか「ジョギングはしんどくていやだね」とか、「一生懸命頑張るのは仕事だけで十分」と思っている人間のことです。こういう人間を一応私なりに「ズボラ人間」と定義しておきます。私自身もズボラ人間で
あると思っていますが、今日の出席者の中にも該当する方がお見えになるのではないでしょうか。そういうズボラ人間のための健康増進、予防医学等にまつわる話を少ししたいと思います。
ここで簡単に自己紹介をさせていただきますと、私はお医者さんでは御座いません。現在、中部支部で建築学科幹事を担当しております。昭和50年に熊本大学建築学科を卒業して、現在は名古屋市内の葛ハ岡設計で専務取締役として仕事をしています。
我社が、今から14年前に企画した「スーパー銭湯」なる商品が大ヒットしました。今までにTV、ラジオ、新聞、雑誌など様々なメディアに数多く取り上げられてきました。来る7月1日の東海テレビで正午から放映される「スタイルプラス」という番組でも取り上げられる予定になっています。スーパー銭湯と言う言葉をお聞きになった方もいると思いますが、「低料金で利用できる大型温浴施設」もっと簡単に言えば「安い料金で入れる大きなお風呂」と言うことになるかと思います。今、建築業界で一番有名なのは姉歯建築士だろうと思いますが、ことスーパー銭湯の設計に関しては当社のほうが有名であろうと思っております。
初期のスーパー銭湯では各種の風呂、サウナと軽食コーナ程度が標準仕様でしたが、そのうち40軒、50軒と設計実績を積み重ねるにつれ、どのようにして顧客に満足していただき、顧客の利益増収に寄与できるか考えるようになりました。そのような中で、マッサージコーナ、アカスリ、エステ等の付加機能が加わってきました。我々の究極の目標は「利用者の健康増進・予防医学に貢献できるお風呂作り」であると考えています。最新のスーパー銭湯には岩盤浴、炭酸泉及び漢方薬草サウナなどが付加されるようになってきています。以下に、岩盤浴、炭酸泉及び漢方薬草サウナについて説明します。
- 岩盤浴
岩盤浴にについては、日本では秋田の玉川温泉などが有名です。癌が治るなどと言うふれ込みもありまして、半年先まで予約が一杯の状況だということです。
この岩盤浴と言うのは、特殊な岩盤を暖めることにより遠赤外線とマイナスイオンが放散されます。これらには界面活性作用と振動共鳴作用があります。要するに水滴粒子を細かくする作用です。岩盤浴でかい汗はサラサラであるといわれます。より重要なことは血液がサラサラになるということです。血液は殆どが水分でできていますから、その水分子が細かくなれば毛細血管に至るまで血液の循環が良くなるわけです。それによって新陳代謝やホルモン分泌が活性化されます。
岩盤浴にはダイエット効果も若干ながらあります。ダイエットとは食事療法と運動療法の二つの組合せ効果によって体脂肪、皮下脂肪が取れるわけですが、脂肪の中には燃えやすいものとそうでないものがあります。有害金属を含む脂肪は燃えにくい脂肪であるといわれています。有害金属は魚を含む我々の日常食品中に少なからず含まれています。有害金属は脂肪に溶けやすく、体脂肪中にも蓄積しやすいといえます。岩盤浴によって汗をかけば、汗腺なり皮脂腺から汗と共に有害イオンを排出することができるのです。この様な理由で、若干ダイエット効果もあるといえるのです。
また免疫力の研究を専門とするあるクリニックの先生が、岩盤浴に入る前と後の免疫力の値を被験者8名に対して測定した結果によると入浴後は入浴前の約1.7倍に向上したということです。また、その後10日間の間、入浴前に比較して高めの値を維持したという分析結果が報告されています。この辺りは、ズボラ人間にとっても朗報となるのではないでしょうか。
- 炭酸泉
炭酸泉と言うのは湯の中に1000ppm以上の炭酸ガスが溶解した状態のことです。大分県や山形県に有名スポットがあります。ヨーロッパでは炭酸泉に入浴することは心臓病や高血圧に効果があるとされています。日本では血行障害治療に利用しています。
- 漢方薬草サウナ
中国製薬草数種類を粉状にしてブレンドしたものを水蒸気に混ぜてミスト状にしたものです。つまり漢方薬が経皮吸収されます。例えば中国であればこれは薬として認められますが、日本の薬事法ではこれは化粧品とみなされます。
以上述べたようなものが最近のスーパー銭湯に導入されている最新設備です。
お渡ししたパンフレットは、我々が最近設計したスーパー銭湯の例です。2店舗とも、ゴールデンウィーク前に開店しました。何れも岩盤浴と炭酸泉を標準装備しています。ズボラ人間を自負する皆さんも、是非この様な施設を利用されてみてはいかがでしょうか。
この辺で、私のスピーチを終わりたいと思いますが、最初にも申し上げましたとおり私は医者ではありません。これまでに述べた内容の一部事項についての信頼度は約8割程度とお考え頂いてちょうど良いと思います。
ご清聴有難うございました。
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